チェンマイ情報 チェンマイ県(市)の経済

令和元年12月23日
 

(1)概観
   チェンマイ県県民総生産額は2,317臆2600万バーツであり,タイの国内総生産(GDP)の約1.5%を占める。一人当たりのGDPは,約13万6千バーツ(2017年)。その内訳は,第1次産業:17.60%,第2次産業:8.85%,第3次産業:73.55%となっており,農業を中心とする第一次産業の割合は既に20%以下となり,趨勢的に減少している。その一方で,チェンマイ市は有名な観光都市であるため,観光業を中心とした第3次産業の比率が高くなっている。最近の経済の動きとしては,政府による一村一品運動により,地域の特産品を推奨して地域経済の活性化を図っている。

(2)農業 
 コメに関し,チェンマイ県をはじめとするタイ北部では伝統的にもち米を主食としてきたこともあり,もち米の作付量がうるち米より多い。
 コメのほか,主要な農作物としては赤タマネギ,ニンニク,大豆,飼料用のトウモロコシ,ラムヤイ(竜眼),リンチー(ライチ),マンゴー,みかん等がある。ASEAN・中国間の自由貿易に関するアーリーハーベスト協定が結ばれてから,中国からの安いニンニク,赤タマネギ等の農作物がタイ北部に流入し,農家の経営に悪影響を及ぼしている。

(3)工業 
 内陸部に位置するチェンマイ県では,港湾付近に立地する自動車工業,素材工業等の製造業には必ずしも適していないが,少量で付加価値が高い電子部品産業等が発達している。特に,チェンマイ県の南方約25kmのランプーン県にある北部工業団地(敷地面積282ヘクタール,1983年着工,1985年完工)がチェンマイ県近郊における製造業の中心となっている。その工業団地進出企業には,日系企業も多く投資しており,その工業団地を中心に日系企業協議会が組織されており,2019年11月時点で32社の会員企業を擁している。

(4)観光業
 チェンマイ県はランナー王国の歴史と伝統に加えて自然環境にも恵まれ,一年を通じて内外から多くの観光客が訪れる。2015年にチェンマイを訪れた外国人は約280万人にのぼる。最近はタイ政府の長期滞在(ロングステイ)推進計画,病院,スパ等の健康関連施設の整備計画により中高年の長期滞在型旅行者が増加している。

(5)メコン流域総合開発
 近年タイ上北部では中国雲南省,ミャンマー北部,ラオス北部,タイ北部で構成する経済四角地帯構想やこの4ヶ国にベトナム,カンボジアを加えたメコン流域開発構想が推進されており,近隣諸国との国境貿易が増加している。更に,メコン河自由商業航行協定,中国との自由貿易協定の発効等もあり,河川や陸路を経由した中国との国境貿易が急増した。2012年4月に第2チェンセーン港が整備された他,2013
年12月チェンコーンにおける第4メコン河国際橋が完成し,中国との国境貿易の増加が見込まれる。