日タイ修好140周年 

令和8年10月19日
     
     (2026年10月17日、チェンマイ国際展示コンベンションセンターで開催された日タイ修好140周年カウントダウンイベントにおいて) 

 

    
      

原田総領事からのメッセージ

 

 1887年(明治20年)、日本政府とタイ政府は日タイ修好宣言という条約を結び、正式な外交関係に入り国交を開きました。そして、2027年、日本とタイは外交関係樹立140周年を迎えます。
 
 当時は、日本の明治天皇とタイのラーマ5世の時代。日本とタイはともに近代的な国家づくりの途上にありました。当時のアジアは、欧米列強の進出という大きな地政学的変化の中にありましたが、日本とタイはそれぞれ国内改革を進め、その厳しい国際環境の中で、自らの進む道を切り拓くことにまい進していました。
 それから140年。世界は幾度となく大きく変化しましたが、日本とタイは驚くべき柔軟性と強靱性を発揮し、それぞれの地域において存在感を高めてきました。戦後、世界規模の貿易の拡大、製造業の分業体制の発展等を背景として両国関係は大きく発展しました。特に製造業において、日本とタイは互いに欠くことのできないパートナーとなりました。
 また、日本の皇室とタイ王室の長年にわたる親密な交流は、常に両国の友情を象徴する存在であり続けています。
 
 過去140年間の動きについて、ここ北タイに目を向けると、19世紀末から20世紀の前半までの期間のチェンマイにおける日本人写真技師たちの活躍は特筆に値します。ピン川近くに写真館を構え、彼らが撮影した写真は、当時の北タイの社会や暮らしを今日に伝える貴重な歴史資料となっています。とりわけ、チャオ・ダーラーラッサミー王女殿下やクルーバー・シーウィチャイ師を写した写真は、北タイの人々にとって、自らの歴史と文化、そして地域への誇りを思い起こさせる大切な意味を持っています。
 
 その後、日本とタイは悲しく痛ましい戦争の時代も経験しました。困難な時代にあって北タイの人々から受けた温かい友情と親切を日本人は決して忘れることはありません。
 
 北タイと日本の関係は、約40年前、日本企業がエレクトロニクス産業を中心に当地への投資を拡大した頃から、新たなフェーズに入ったと思います。日本企業は、北タイの文化や社会、法令を尊重し、単に事業を行うだけではなく、社会貢献活動にも意を配り、そこで働く多くのタイの同僚とともにビジネスを成功させ、今なお、良きタイ社会の一員であろうと努力を続けています。
 また、同じ頃、ビジネスの第一線を退いた日本のシニアの人たちも、北タイの豊かな自然や文化、歴史、そして人々の温かさに魅せられ、チェンマイを人生の第二の場として選ぶようになりました。そして北タイに住む日本人の数も徐々に増え始め、2005年には、在チェンマイ日本国総領事館が開設されました。
 
 北タイに魅せられたのは、ビジネスに携わる人々だけではありません。国境地域を含む様々な場所で、長年にわたり社会貢献活動に取り組んできた日本のNGOや市民社会の人々もいます。彼らの深い山岳部に入り、タイの人たちとともに貧困や教育、健康の問題に真剣に取り組みました。彼ら、彼女らの活動もまた、日本と北タイの人々の間の信頼、友情の基礎となっていきました。
 
 人と人との交流を考える上で、学術と教育は特に重要です。北タイの高校、大学、語学学校では、今日も多くの若者が日本語を学んでいます。日本や日本語に興味を持つきっかけが、マンガやアニメであったという方は多いのではないでしょうか。
 チェンマイ大学をはじめ、北タイの大学と日本の大学との間には数多くの協力覚書(MOU)が結ばれています。これまで、様々な分野で両国の研究者や学生が互いに学び、研鑽を重ねてきました。大学間交流は、質の高い関係の証です。双方の研究者によって育まれた知恵が、学術分野のみならず、ビジネスや市民社会とも結びつき、両国がそれぞれ持つ社会課題の解決に寄与していくこを期待いたします。
 
 140年前に始まった日本とタイの外交関係樹立から140年が経過し、両国の関係は、政府と政府の関係をはるかに超え、多くのステークホルダーを巻き込んで現在にいたります。現在の両国の友情の基礎を作った両国のすべての先人たちに心より敬意を表したいと思います。
 
 最後に、在チェンマイ日本国総領事としては、北タイの皆様、そして日本人の皆様とともに、これまで築かれてきた信頼と友情を基礎としつつ、次の世代に向けて「質が高く、創造的で、そして健全な」日本とタイとの関係を発展させていきたいと思います。
 
 今後とも引き続きよろしくお願いいたします。
 
原田 優
在チェンマイ日本国総領事
 

日本と北部タイの歩み

1:日本人写真家の活動
 ピン川のほとりに、かつて日本人が営む写真館がありました。19世紀末から20世紀前半にかけて、チェンマイで活躍した日本人写真技師たちは、北タイの人々の暮らしや街の姿を記録し続けました。彼らが残した写真は、いまや当時を知る貴重な手がかりです。チャオ・ダーラーラッサミー王女殿下の写真を含むこれらの写真は、北タイの人々が自らの歴史と文化に誇りを抱く、大切なよりどころとなっています。


チャオ・ダラーラッサミー王女殿下



クルーバー・シーウィチャイ師



古いチェンマイの街並み



ピン川沿いの風景




2:二国間協力

日本政府はJICAを通じて様々な分野で協力を実施してきました。写真は、1993年から1998年にかけて行われたチェンマイ大学の植物バイオテクノロジー分野の研究員に対して、農作物優良苗の生産に関する技術の確立やマニュアル作成・セミナー開催などを通じた人材育成を支援したプロジェクトです。


2011年3月11日、日本で東日本大震災が発生し、多くの被災した方が体育館などに避難しました。当時、タイ政府は医師と看護師のチームを福島県に派遣しました。タイチームの活動は、被災した人たちにとって大きな励みとなりました。(活動期間2011年5月)


在チェンマイ日本国総領事館は、草の根無償資金協力、通称「KUSANONE Project」を通じて北タイの社会課題解決のお手伝いをしています。写真は、2018年チェンライ県ウィアンゲーン郡ラーイガーオ町に供与した消防車です。多くの供与された消防車は、2024年の大水害後の清掃にも活用されました。


日本政府はタイ政府のみならず、NGOや市民団体と協力しています。2025年6月、医療へのアクセスが困難な遠隔地での感染症の検査や治療の活動を支援するため車両と携帯用X線検査器を供与しました。

140周年関連事業

事業名 時期 リンク
日タイ140周年カウントダウンイベント(ランナーエキスポ2026期間中) 2026年10月17日 https://www.chiangmai.th.emb-japan.go.jp/itpr_ja/11_000001_01651.html